夫婦墓とは、最近話題になっている墓で、「めおとばか」「ふうふばか」と呼ばれています。
夫婦ふたりだけのために建てるお墓のことであり、お子さんやご先祖様はそのお墓には入りません。
お墓は基本的に一度建てると代々受け継がれていくものですが、最近多いのが子供のいない夫婦です。
子供がいない、お墓を継承する人がいない場合、建てたお墓はいずれ無縁仏となってしまいます。
それを防ぐための一つの方法が「夫婦墓」なのです。
夫婦墓は将来のお墓の継承を前提としていない夫婦ふたりだけが入るために建てるもの。
そのため、よくあるのが夫婦ふたりだけの名前を彫ったお墓です。
お墓と言えば最もスタンダードなものが「OO家之墓」と彫られているものです。
夫婦墓であってもそのように彫る方も中にはいらっしゃいますが、多くはおふたりの名前です。
ふたりが同時に亡くなることは、事故などを除きあまりありません。
どちらかが先に旅立った時は、お墓の棹石に戒名を刻みますが、中心ではなく右もしくは左寄りに刻んでもらいます。
夫が先だった場合は右寄りに、妻が先だった場合は左寄りに刻むのが一般的です。
二人の戒名が並んだ時にはじめて本当の夫婦墓となります。
ただ、夫婦墓とは言っても、ふたりだけでなく他の方も一緒に入るケースもあります。
例えば、妻に先立たれてしまった夫が後に再婚したとします。
その場合、そのお墓には後妻も入ることになる場合があります。
戒名の刻み方は夫が中心で左側に先妻、右側に後妻となるのが一般的です。
同じお墓に三人入ったとしても、夫婦墓であることは変わりありません。
夫婦二人が亡くなりお墓に入ると、そのお墓は一代でその役目を終えます。
そのため、仮に後継者がいたとしても、生前に寺院や霊園と永代供養の契約をしておくと良いでしょう。
夫婦二人がお墓に入り、三十三回忌もしくは五十回忌のタイミングで遺骨が取り出されることになります。
ただ、夫婦墓は、お寺や霊園によって建立することができない場合がありますので、事前に確認しておきましょう。
そんな夫婦墓は「永代供養墓」の一つの形として徐々に増えつつあります。
永代供養墓には他にも、個人墓や合掌墓などもあります。
どれも子供がいない夫婦や、単身者のお墓のスタイルであることは間違いありません。
また、お墓の後継者がいるにも関わらず、子供達や孫達に面倒はかけたくないとの思いで夫婦墓を選ぶ夫婦も増えています。
夫婦墓には幾つものメリットがあります。
少子化が大きな問題となっている現代日本において、子供や親族はそのお墓を管理する必要のないお墓にニーズが高まっています。
子供が居たとしても、遠く離れた地で生活している場合、お墓の継承は難しいものです。
夫婦墓は永代に渡り供養と管理を行ってくれるので安心です。
生前に一度一式料金を支払ってしまえば、管理費をはじめ、お布施や寄付金などが一切かかりません。
基本的に一般的なお墓を寺院墓地に建てると、お布施や寄付金などを求められる機会が増えます。
檀家になるということはそれを支払う必要がありますが、夫婦墓ならそれがかからないので安心です。
夫婦ふたりだけのためのお墓ですから、後の事を考えずに好きな形にお墓をデザインすることができます。
夫婦の思いを、そして共通の趣味をお墓にデザインすることができるのです。
では夫婦墓のデメリットは何かと気になるかもしれません。
実は夫婦墓には、大きなデメリットがありません。
あるとすれば、夫婦ふたりが亡くなった後の管理・供養を考えておく必要があることではないでしょうか。
基本的にふたりが亡くなった後の管理・供養は寺院や霊園などがおこなってくれますので生前にきちんと依頼しておけば安心です。
そもそも夫婦墓には安心の永代供養タイプが多いので、亡くなった後の心配をする必要がありません。
子供がいなくいても安心、そしてその後の管理を考えなくても良いという点が大きな魅力ではないでしょうか。
また、後継者はいなくても、夫婦ふたりを偲んでお参りに来てくれる人がいる場合に夫婦墓は適していると思います。
生前苦楽を伴にしてきた伴侶と、ふたりだけでずっと一緒に居られる夫婦墓はこれからどんどん需要が高まる可能性があります。
お墓を建てるのは一生に一度あるかないかと言われています。
だからこそ、どのようなお墓を建てるのか迷ってしまいがちです。
夫婦ふたりだけの夫婦墓は現代の新しいお墓の形です。
子供たちや子孫、親族に余計な手間をかけないようにと選ぶお墓の形。
他にも樹木葬や散骨などさまざまな埋葬方法はありますが、お墓に入る形が一般的です。
夫婦墓を建てるにも、一般のお墓を建てるにも、終活の一貫として、ご夫婦や家族でお墓のあり方についてよく話し合う事が大切です。