墓石は複数の要素が組み合わさっています。
一昔前までは、お墓と言えば『和型』が当たり前でしたが、最近では洋型墓やデザイン墓などさまざまな形のお墓が増えています。
どの形であっても、必ず複数の要素が組み合わさってできています。
先祖代々のお墓を見ても、新しく建てたお墓を見ても、あまり構造について考えた事がある方は少ないと思います。
そこで、ここではお墓のそれぞれの部分の名称と意味を詳しく解説していきたいと思います。
「先祖代々之墓」「○○家之墓」などと文字が彫られた石部分を棹石と呼びます。
お墓として多くの方がイメージする部分であり、棹石部分を墓石と呼ぶこともあります。
棹石は「天地人の天」を表しているものです。
棹石を支えるすぐ下の部分で蓮の形を模した台座を上蓮華と言います。
棹石の下の装飾石であり、この部分がないお墓もあります。
上蓮華同様、棹石の下の装飾石です。
上蓮華と下蓮華で一組とされていますが、この部分がないお墓もあります。
ちなみに、上蓮華・下蓮華を「スリン」と呼ぶこともあります。
下蓮華のすぐ下にある台が上台です。
上台部分には家紋を入れることが多いようです。
上台は人や事業、動産を表していると言われています。
上台の下にある台が中台です。
ここには、お墓を建立した日や建立者の名を刻む場合が多いようです。
中台は、地や財産、不動産を表していると言われています。
中台の下部分を芝台と呼んでいます。
丁度地面についている部分です。
芝台は花立や水鉢の台になっていることが多いと思います。
また、納骨棺の保護の役目があります。
水鉢は、芝台の中央に位置する部分を指しています。
仏様にお水をお供えする部分であり、少しくぼんでいる部分を指しています。
水鉢は、死者と墓参者を結ぶための「いのちの水」をたたえるものと言われています。
ちなみに、宗派によっては水鉢がない場合があります。
芝台の上、左右に花立があります。
その名の通り、お花を飾る部分です。
香炉はお線香を立てる場所です。
香炉の下に敷いている石を拝石と呼びます。
ちょうど、納骨棺(カロート)の上にあるので、納骨をする場合は、拝石を上げて骨壷を納めるのが一般的です。
納骨の蓋とも言われています。
その名の通り、卒塔婆を立てる部分です。
一般的にお墓の横に作られることが多いのですが、宗派によってはない場合があります。
亡くなられた方の名前や戒名、死亡年月日、享年などを刻むための石です。
一般的にお墓の横に建てられるのですが、建てない場合もあります。
墓誌がない場合は、棹石の裏に名前や戒名、死亡年月日などを刻みます。
骨壷を納骨する部分を納骨棺(カロート)と呼んでいます。
カロートと呼ばれるのが一般的ですが、その語源はカラウド(唐櫃)であり、それが訛ってカロートになったと言われています。
カロートは基本的にお墓と一体型になっています。
地上式のものや半地下式のもの、そして地下式のものと3種類あり、地域によって異なります。
外柵はお墓にとって非常に重要な部分です。
隣接墓地との境界を明確にさせておくものであり、最初に外柵を建てる方が多いです。
巻石、境石、葛石とも呼ばれています。
ただ、最近では境界のない芝生墓地などもあるので、必ずしも建てなくてはならないものではありません。
灯篭は本来、故人の供養の意味があるものです。
他にも、道を照らすものとの意味もあります。
最近では石製だけでなく、金属製のものもあり、形もさまざまなものがあります。
外柵の一部分で、丁度お墓の入口の石を指しています。
親柱には家紋を入れたり、区画番号は記されたプレートをはめ込むことがあります。
このように、お墓とひとことで言っても、さまざまな部位からできていることが分かると思います。
それぞれ名称と意味があり、それらが一つになって『お墓』となっていることを覚えておきましょう。
冒頭で、現在お墓には和型墓や洋型墓、デザイン墓などさまざまな形があると説明しました。
しかし、その中で最も多いのがやはり『和型墓』です。
日本の伝統的なお墓の形として根強い人気があります。
和型墓は、江戸時代中期頃から建てられ始めたといわれており、現在もその形を受け継いでいるものです。
和型墓の多くが三段式の墓になっています。
上から「棹石」「上台」「中台」ととてもシンプルな形で、最もポピュラーなものです。
棹石の上部分は平らなものが多いのですが、神道のお墓は「角兜巾」になっています。
お墓はご先祖様や故人を供養するものです。
そのため、大きさや形にこだわる必要はありません。
どのような形でも、どのような大きさでも、供養する気持ちがあれば良いのではないかと思います。