お墓参りは日本人の風習の一つです。
昔はお墓参りの作法やマナーなどを重視していましたが、最近ではほとんどそれが見られなくなりました。
「お墓に行ってただお線香をあげれば良い」「お線香とお供え物をあげて手を合わせれば良い」という方が多いようです。
確かに、お墓参りに特別な作法はありません。
しかし、お墓は故人やご先祖様など大切な方々を供養する場所です。
つまり、お墓参りはご先祖様に感謝の気持ちを伝える場所。
だからこそ、基本的な心得や手順は最低限身につけておく必要があると思います。
まず服装について。
お墓参りをする際は基本的にどのような服装でも良いのですが、できれば派手は色・柄の服などは避けるようにしましょう。
スーツや礼服を着なければならないという決まりはありませんが、できればシャツなどきちんとした身なりが好ましいでしょう。
寺院や霊園には必ず手桶やひしゃくが用意されています。
ほうきなどの掃除用具が用意されている所もありますので、忘れてしまったらそれを貸していただきましょう。
お墓が寺院墓地である場合は、まずお寺に着いたら本堂のご本尊にお参りします。
仮に住職がいらっしゃる場合は、必ず挨拶をするように心がけましょう。
では、掃除用具やひしゃく、手桶などを借りて水を汲んだら、お墓に行って「合掌礼拝」してから墓地の掃除を始めます。
最初にお線香をあげる方もいますが、掃除をするのが先です。
掃除が終わったら、花立に水を入れます。
花ばさみを長さを整えた生花をそこに飾ります。
次はお供え物です。
持って来た半紙を敷いた上にお供え物を置きましょう。
お菓子や果物が一般的なのですが、中には故人が生前好きだったと言う理由でお酒を墓石にかけてしまう方がいらっしゃいます。
これは絶対にやってはいけないことです。
特に若い世代の方に目立った行為ですが、化学変化で墓石が変色してしまうことがあります。
元に戻らず、そのままシミになってしまうことも多々ありますので絶対にやらないように注意しましょう。
次にロウソクに火を付けます。
ロウソクを忘れてしまった場合は、直接線香に火をつけても大丈夫です。
ロウソクの火で線香に火をつけたら、口で吹き消さずに手であおぐように消しましょう。
次にせっかくつけた線香を消さないように注意しながら墓石にたっぷりと水をかけます。
そしてお墓の正面で合掌します。
合掌の際には手に数珠をかけ、軽く目を閉じて頭を少し下げましょう。
そして最後にお供え物を片付けて袋などにしまったら終了です。
お供え物は必ず持ち帰るようにするのがマナーです。
お墓参りの服装は普段着で問題ありません。
しかし、派手な服装や豪華な服装はご先祖様に失礼にあたってしまいます。
喪服を着る必要はありませんが、できるだけ「きちんとした服装」で行くと良いでしょう。
お墓に供える生花は基本的に決まりはありません。
一般的に菊が仏花であると言われていますが、そうでなくてはならない決まりはありません。
故人が生前好きだった花を供える方もいらっしゃいます。
ただ注意しなくてはならないのが、香りが強い花です。
あまりにも香りの強い花はお供え花として不向きとされています。
それに棘のあるバラも不向きとされているので覚えておきましょう。
お線香に2、3本だけ火をつける方がいらっしゃいますが、それはご先祖様に失礼に当たる行為です。
お線香は仏様の食事になるもの。
そのため、必ず束で火をつけるようにしましょう。
お墓参りに行ったらその都度チェックしておくべき点があります。
それは「お墓の状態」です。
お墓は古くなるとどうしてももろくなってしまいます。
そのため、地目が割れていたり、墓石自体にひびが入っているなんてこともあります。
それを放置するとちょっとした地震や震動でお墓が倒壊する可能性があるため、そういった事がないか必ず確認する必要があります。
もしひびや割れを見つけたら、石材店などに連絡し修理をお願いすると良いでしょう。
花立や香炉は墓石に比べるとどうしても早く傷みがちです。
花立にひびが入っていると水が漏れてしまい花がすぐに枯れてしまいます。
付属品だけの交換も可能ですから、早急に対処することをおすすめします。
お墓参りは故人やご先祖様を供養するだけではありません。
ご先祖様に感謝し、大切に思っているなら、お墓の状態もきちんと確認するべきです。
あまりにも劣化が酷い場合は、お墓の建替えも検討する必要があるでしょう。
お盆に向けて、お彼岸に向けてお墓を建替える方はたくさんいらっしゃいます。
綺麗なお墓になることで、ご先祖様もきっとお喜びになることでしょう。