お墓参りの際に墓石自体に水を掛ける方は多いと思います。
でも、墓石に水を掛けるのは良くないとの声もあれば、水を掛けるのは良いことだととの声もあります。
実はどちらの意見も間違っていないのです。
水を掛ける意味は、餓鬼界にいる可能性のあるご先祖様の苦しみを少しでも軽くするためだと言われています。
また、餓鬼界の苦しみで喉が渇いてしまっているご先祖様の喉が少しでも潤えばとの説もあります。
仏教の世界では人が亡くなると「天上界」「人間界」「修羅界」「畜生界」「餓鬼界」「地獄界」の世界を輪廻すると考えられています。
餓鬼界にいる時はその名の通り、水も食べ物もない世界ですから、ご先祖様が乾きで苦しんでいると考えられています。
だから昔の人は、ご先祖様を助けるために墓石に水を掛けることを考え付いたのです。
他にも墓石に水を掛ける意味の説は幾つかあるのですが、どれが正しいというわけではありません。
要はご先祖様を思う気持ちから始まったことなのでしょう。
墓石を水を掛けない意見は、ご先祖様を侮辱すると考えられているからです。
墓石に水を掛けるということは、人に例えると頭から水をかぶせる様なもの。
「冷や水を浴びせる」と言う言葉がありますが、まさにそういった意味で水を掛けてはいけないと考えられています。
中には墓石を傷めてしまうからとの理由で水を掛けない方もいるようです。
両者の意見を分析すると、やはりどちらが良いかは決めることができません。
個人の考え、家族の考え、そして宗教上の考えがありますから、自分の考えで行動すれば良いと思います。
ただ、やってはいけないのがお酒(全てのアルコール飲料を含む)を掛けることです。
ご先祖様や故人が生前お酒が好きだったからと、命日やお墓参りの度にお酒を墓石に掛けてしまう方がいらっしゃいます。
お酒に含まれるアルコール成分が石の目に染み込んでしまうことで、カビや変色、劣化の原因になってしまいます。
水を掛けて良いのだから、お酒も良いでしょ?と安易な考えは止めましょう。